ママのためのキャリアスクールを展開するTimers様は、卒業生と企業様の案件をマッチングする事業を営んでおります。スクール全体として営業代行が業務全体の約3割を占めており、インサイドセールス代行事業における体系的なディレクター、コールメンバーの育成に課題を抱えておりました。自社で洗練したノウハウはあるものの、リソース的に学習プログラムの開発をやり切ることが難しかった同社がMarooからの支援を受けてどのような変化があったのか、執行役員(VP)の松村 隆宏様にお話を聞きました。(聞き手:Maroo 代表取締役社長 山梨寛弥)
【株式会社TIMERS様】
設立年:2012年5月
事業内容:子供がいる女性向けのキャリア・金融教育サービスや、家族アルバムアプリを展開するライフデザインブランド「Famm(ファム)」の提供
会社HP:https://timers-inc.com/about
Timers様のインサイドセールス代行事業における課題感
――御社の事業内容について教えてください。
お子様の写真・動画サービスから、子育て費用の相談会つき撮影会、ママのためのキャリアスクールなど、子育て家族の理想のライフデザインに寄り添うブランド「Famm」を展開しています。そのなかでも特に力を入れているのがママさん向けのオンラインスクールで、WebデザインやWebマーケティングなどのITスキルを学ぶことができます。
スクール卒業後に仕事を希望するママさんと企業様をマッチングするために、弊社が業務委託の形で間に入り、在宅で仕事ができる環境を整えています。
Webデザインや営業事務なども分散しており、どれか一つに特化しているわけではありませんが、企業様からご相談いただく内容として多いのが営業代行です。スクール全体としては、営業代行や電話対応の業務が全体の約3割を占めており、営業経験やコールセンターの経験がある方々が、そのバックグラウンドを活かしてインサイドセールスや営業代行の業務を行っています。今回、Marooさんにはこのチームを中心にご支援をいただいております。
――当時の課題感についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
インサイドセールス組織の「教育・トレーニング体制の仕組み化」が課題でした。弊社でも育成には力をいれていたものの、実務をこなしながら教育する体制だったため、言語化や体系化には十分な時間をかけられていませんでした。
インサイドセールスのディレクターやメンバーの教育・トレーニングができる支援会社様の数は少なく、実務の理解が深い会社となるともっと数は減ります。Marooさんとの面談を通じて、メンバー育成の難しさや、実際にインサイドセールスの成果創出に向けて、リアリティのある課題や実務における泥臭い大変さを解像度高く理解している会社だとお見受けして、Marooが提供する「イネーブルメント支援」を一緒に取り組みたいと感じました。あとは代表の山梨さんのnoteも拝見していましたが、深い経験に基づいた内容になっており信頼できる方だと感じた点も大きかったですね。
Marooのイネーブルメント支援により「わかる」と「できる」の実行ギャップが埋まった
――支援後、具体的にどのようなことを進めていきましたか?
インサイドセールス(以下、IS)の育成・トレーニングを目的にした学習プログラム・コンテンツの開発をご依頼しました。育成対象は、プロジェクト管理とKPI責任を持つディレクターと実際のプロジェクトメンバーとしてコールするアポインターの2つの職種向けです。
さらに具体的な支援としては、一つは、座学用の資料を作成し、オンラインでメンバーが動画形式で見て学ぶことができる、学習プログラムの開発と動画コンテンツの制作です。もう一つは、実務に近い形式で行う模擬研修やOJT(On the Job Training)です。模擬で特定の顧客を想定したロールプレイングを育成・トレーニング対象に実施していただき、フィードバックを実施しながら、最終的に試験をクリアしてもらうという支援内容です。
弊社でもOJTを通じてメンバーの育成には注力しておりますが、座学の時間を取って研修用のコンテンツを制作するのは非常にリソースがかかりますし、プロジェクトの成功に向けたクライアントワークを並行しながらOJTで育成を同時に行うのは工数的な負荷が高く、現実的ではありません。また、社内でコンテンツを作るとどうしても客観性が欠けてしまい、抜け漏れが発生しやすいと感じているため、専門性が高い第三者の企業様と一緒にやるべきと考えていました。
Marooさんの支援を通じて、「実務で成果を上げる」ことを起点に、どのような思考・行動プロセスがあり、どのような学習コンテンツが必要なのかを明確にしながら網羅的に洗い出すことができました。また、模擬研修のなかで、理解度やスキル状況を可視化する試験を設けていただいたことで、研修の貢献度や評価を明確にすることができ、非常にありがたかったポイントです。
研修会社は世の中に数多くありますが、実務に直結する研修、インプットを実現するのは非常に難しいです。今回は動画によるインプットと卒業試験のなかでの理解度の確認だけではなく、ロールプレイングによるアウトプットや、フィードバックによる振り返りと成長の機会を模擬研修内で取り入れることで、実務に繋げるハードルを非常に下げることができたと感じました。「わかる」から「できる」までの差分を埋めてもらった点が価値あるポイントでした。
――「わかる」と「できる」の差を埋めるのはイネーブルメント領域の永遠のテーマですよね。Marooと一緒に今回の研修プログラムを開発させていただいて、どのような価値を実感いただけましたか?
実務上の必要性を考慮した研修が重要だというお話を頻繁にされていたのが印象的です。実務を知っている方々なので、必要な研修の内容についての足並みを揃えるのが非常に容易でした。専門性が高く、細かなチューニング不要で伝えた意図プラスアルファを汲み取ってもらい、提案ベースで進めてくれる点が助かりました。
加えて、Marooさんのインサイドセールスの実用的で豊富なフレームワークは、研修作りに役立った部分が大きいと振り返っています。例えば、因数分解シートです。架電数や接続数、アポイント取得率など、プロセス上の各ステージ指標を構成している要素や、よくある課題、課題に対する解決策の考案までを一元管理しているフレームワークです。
弊社では、量(活動件数)と質(コンバージョンレート)の両軸で課題整理と解決策を導き出す工程をディレクターが担っていますが、一方で、成果創出に向けたプロセスが属人化していたことが課題でした。
因数分解シートを学習コンテンツに盛り込むことで、ブラックボックスだったノウハウが明文化され、再現性の高いオペレーションとして各ディレクターに浸透することができました。また、スキル・経験がまだ少ないポテンシャル人材が早期に自走し、戦力化するまでのリードタイムを短縮化することにも貢献するコンテンツだと感じています。
弊社が保有しているノウハウと、Marooさんの実務に基づくフレームワークがあったことで、スピード感を落とさずに、精度高くアウトプットの整理を進めることができました。
圧倒的な質と量のフィードバックでメンバーのスタンスが変化
――Timers様のノウハウとMarooのフレームワークを組み合わせることで、良い相乗効果を生み出したのですね。ほかに良かったと思える点はありますか?
メンバー全体のパフォーマンスを底上げできた点が一番の成果です。研修の導入で、スクール卒業生のスタートラインが一定の品質で担保され、戦力化するまでのリードタイムが短くなりました。また、研修という体系化されたものが用意されていることで、人材採用でもアピールポイントに繋がり、採用する人材の量と質ともに向上させることができ、アサインできるプロジェクトも増えました。
OJTは「いいですね、とりあえずやってみましょう!」というベンチャーマインドが強い方には合っていますが、体系化されたもので学びたいという方も多くいます。そういう方にとってしっかりした研修があることが安心に繋がります。
関連して体系化・言語化された研修パッケージがあることで、実務の中での学びが明確になります。キャッチアップのスピードも速くなり、結果的にパフォーマンスにも繋がっています。動画コンテンツを見た人と見ていない人のキャッチアップや成果を出すまでのスピードや吸収力の違いは明確で、その変化を実感しています。
元々いたメンバーにも研修を受けてもらいましたが、パフォーマンスが平均くらいだったプレイヤーが、今や多くの会社から引っ張りだこです。特にMarooさんに細かくフィードバックいただけたことで、その後のプロジェクトでは非常に高いパフォーマンスを発揮しています。
トッププレイヤーの再現性ある育成方法
――嬉しいコメントありがとうございます!トッププレイヤーを再現性高く育成することはどの企業様も課題だと思いますが、Timers様でのトッププレイヤーの特徴や共通項はありますか?
一言でいうと仮説検証ができる人です。スクリプトのブラッシュアップや基本的なオペレーションは最低限行いますが、活躍できる方はそれだけではなく、自分で振り返りを行い、なぜアポイントに繋がらないのか、どこが突破できないのかを課題として見つけ、試行錯誤しながらPDCAサイクルを回しています。
前提となるスキルセットや顧客の業界・製品の知識は前提ですが、その先の成果に向けたスタンス面におけるポテンシャルは非常に重要と考えます。今回は、学習プログラムの開発から派生して、Marooさんと一緒に採用基準をあらためて構築することにしました。
トッププレイヤーを実際に生み出すことができたプロセスをもとに、入口段階からポテンシャルを持っている方をお迎えできる体制を整えることができました。
本質的なビジネスの根幹の理解から始めるディレクター育成
――学習プログラムの開発だけではなく、組織として拡大するためのポテンシャルが高い人材の定義や採用基準、実務に貢献する学習環境の整備に関わることができたのは、弊社にとっても非常に良い経験でした。ディレクターの育成についてはいかがでしたか?
ディレクターとしてあるべき姿、どのようにクライアントに接するか実務経験の解像度が高いMarooさんと一緒に構築することで、ハウ・ツーだけでなくビジネスの根幹部分を伝える学習プログラムを構築いただけたと感じております。
「裁量を与える⇛フィードバックして育成する⇛PDCAを回す」という循環によって成果創出を生み出せるディレクターの育成に大きく貢献いただきました。
実経験に基づく標準化・再現性高い組織構築のノウハウがMarooの価値
――Marooに支援をお願いする価値について改めて聞かせてください。
MarooさんはSalesforce、リクルート、キーエンスなど、外資系IT企業や圧倒的に営業力が高い大手企業の出身者が多く、専門性だけではなく営業実務での解像度が非常に高い点が何よりも大きいです。実経験に基づく標準化・再現性高い組織構築のノウハウに長けていることもありコンテンツの品質水準が高く、単なるお勉強ではなく、実事例として臨場感あるストーリーがあるので吸収しやすい点も他にはない点です。また、フレームワークやノウハウを踏襲した「虎の巻」など中期的な資産になるものを形として残していただける点も価値として非常に大きかったと振り返っています。
――今後の展望について教えてください。
スクール会員の方のご経験を生かしていただき、その方々が在宅で活躍できるような事業を展開していきたいです。特に女性は、柔軟性や相手の話をしっかり聞く能力が高い方が多く、そういった方々が営業代行を行うことで結果が出ています。
多くの会社様に喜んでいただいており、今後もより磨きを掛けて多くの企業様に価値を提供していきます。