スタートアップから外資大手まで5000件、1300社以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ株式会社soraプロジェクト様は、BtoBに特化したインサイドセールスの代行会社です。 そんな同社はインサイドセールス組織の拡大を考えるにあたり、トップセールスの暗黙知を形式知化し、チームメンバーにも共有したいという課題を抱えていました。
この課題を解決するために、soraプロジェクト様のSV(スーパーバイザー)向けにMarooのイネーブルメント事業の1つである「インサイドセールス研修」を2024年7月より導入していただきました。今回は、その背景や具体的な内容、その成果についてお話を伺いました。(聞き手:Maroo代表取締役社長 山梨寛弥)
属人的なスキルや経験に依存せず、インサイドセールス全体の成果を最大化
───まずは、弊社にご相談頂く前にsoraプロジェクト様が抱えていたインサイドセールスの課題について教えてください。
櫻井様:課題の1つ目は、インサイドセールスを組織化するにあたって、インサイドセールスチームでトップの成績を持つSSV(シニアスーパーバイザー)の思考を、チームメンバーにも共有できるように言語化し、可視化したいと考えておりました。2つ目は、インサイドセールスチームのアポイント獲得した後の有効商談に転換させる歩留まりが悪く、営業活動の質を向上させるためにもノウハウの体系化が不可欠でした。
───Marooのインサイドセールス研修をお選びいただいた理由を教えてください。
江口様:従来、インサイドセールスは個人の感覚や経験に依存しがちな職種です。Marooさんの提案内容から、暗黙知だった属人的なノウハウを形式知化させ、誰でも再現可能なセールスのメソドロジーを構築し、インサイドセールス組織全体の精度と生産性を高めることを期待していました。
櫻井様:従来の研修イメージだと、一般的には座学形式が多く、ただ「聞いて終わり」というイメージを持っていましたが、Marooさんの場合、トータル期間3ヵ月、2週間のサイクルでインプットと実践に即したケーススタディやワークショップが行われる形式で、学びから実践への導線がとてもスムーズだと感じ、インプットした内容が即実務でアウトプットできる点が魅力でした。
自社の組織や課題に合わせて研修内容をカスタマイズ
───インサイドセールス研修を受講いただいた手応えについてはいかがでしたか?
櫻井様:soraプロジェクトの習熟度や事業としての優先度など、ビジネス状況に合わせてカスタマイズされた研修内容を提供していただけた点が良かったです。また、当初の目的であった「トップ営業の思考や行動習慣を体系化したノウハウとして型化すること」を早期に実現できたことも、大きな手応えを感じました。
また、トッププレイヤーの思考・行動習慣が言語化されるだけではなく、視覚的にビジュアルで整理されていることで、全体像が明確に把握でき、メンバーのスキルや理解度に応じて育成する基盤が整ったと思います。
今回の研修は、細部まで体系化されたノウハウが盛り込まれており、専門的な内容も多いため、全員が100%理解して完璧に実行するには時間がかかると思います。ただ、この研修では「まずはここから始めましょう」や「ここはすでにクリアしているので、次はここです」といった形で、メンバーとSV(スーパーバイザー)が全体像と現在の進捗を共有しながらステップアップできる土台が整ったと思います。そして、その進め方が、会社として求めるかたちと非常にリンクしていました。
江口様:インサイドセールスだけでなく、フィールドセールス側の連携を意識する研修も行い、インサイドセールスの専門性がさらに深まり、チーム全体でプロジェクト成果の最大化を見据えて活動する体制が築かれました。
以前は、アポイント取得後の後工程に対する解像度が荒かったメンバーもフィールドセールスと同じ視点にたち、商談設定がゴールではなく、売上や受注から逆算したインサイドセールス活動を考えることができるようになった点は大きな成果です。
また、インプットした内容をチームで咀嚼し、ワークショップを通じてアウトプットしながらフィードバックをいただくプロセスを3回繰り返したことで、より確実に定着化が図れました。1回のみでは、ここまで浸透させることは難しかったと感じています。
土手様:研修内容と私がこれまでやってきたことが多くの部分一致していることが確認できたのがまず嬉しかったです。
何より研修資料がとてもわかりやすく、他のSVやリーダーを育成していく上で、役立つと感じました。インサイドセールスのポイントが視覚化されており、誰にでも理解しやすい内容です。これまで私は感覚的に仕事をしてきた部分もあり、他人に伝えるのが難しく思うシーンも多々ありました。私と同じ感覚を持つメンバーには、一言で伝わるのですが、そうではないメンバーには教えにくいと感じていました。
アウトプット型の研修でお客様との対話単位でノウハウを型化
───トッププレイヤーの思考や行動習慣を棚卸しし、体系的に可視化することは、組織をスケールさせるうえで非常に重要です。特に印象に残っている研修やワークショップの内容はありますか?
江口様:「インサイドセールスにおける問題解決プロセス」の研修とワークショップが印象に残っています。プロジェクトに参画しているメンバーの営業活動における定性・定量的なデータが可視化され、商談設定の進捗状況が一目で把握できるようになりました。メンバーが自身の商談プロセスを俯瞰し、改善すべきポイントが明確になったことで、チーム全体でのアプローチの質が向上しました。
具体的には、仮に「アポイント獲得数が目標に対して未達で着地見込み」という問題が起こった場合、活動数/担当者接続率/アポイント打診率/アポイント獲得率というプロセスの因数分解を行い原因を整理します。計測期間や担当営業との差分比較で「どれほど差異があるか」という定量的な原因や、「なぜ低い/下がったのか」という定性的な原因を洗い出し、「改善に向けてどのようなアクションアイテムがあるか」を体系的に紐づけて可視化できた点が非常によかったです。クライアント様に提案する際のイメージも明確になりました。
土手様:直近の研修で学んだ、相手の優先順位を明確にする質問の仕方です。優先順位を明確にする質問の仕方が難しいと感じていたので、言葉選びや表現方法などお客様との対話単位で具体的な学びが多く、すぐに実践できる点も良かったです。こうした質問はお客様との信頼関係を強化するのに非常に効果的だと感じました。
あと私のなかで心に残っているのが「初回商談をおろそかにする行為は、今の自分を甘やかせる一方、未来の自分の首を絞める行為に繋がる」という山梨さん(Maroo代表)の格言です。私も口頭でよく言ってきたのですが、外部講師の方も言っていることを伝えながら教育現場に活かしていきたいです。
───研修の学びを即実践でのアウトプットに繋げていただき嬉しいです。その他、研修を通じた気づきや変化はありますか?
土手様:その他の学びとして、私自身はお客様と対等な立場で話せている一方、他のメンバーは、お客様が仰ることをそのまま正しいと思い込んでしまう傾向がある点も学びでした。過去の経験からも、真の意味でお客様の成功に貢献するには、対等な立場でお客様に最適な提案を行うことが不可欠だと改めて学びました。
私は長年、携帯ショップで働いており、お客様への提案や潜在ニーズを引き出すことに注力してきました。ただ、自分が嫌われたくない、変に思われたくないという気持ちが強いと、自分の成果を優先してしまい、お客様に本当に伝えたいことが伝えられなくなってしまいます。
常に相手目線で物事を考える姿勢が私の根底にあり、今回の研修でも改めてその重要性を感じました。お客様が誤っている場合でも、失礼のない表現でそれを伝えることが、お客様の成功にとって本当に大切だと思います。
江口様:我々はコール業務やアポイント取得など、お客様のプロジェクトの一部を担っているため、対等な立場として意見を言わなければならないと感じるようになりました。お客様の成果に向き合うことが重要で、必ずしもすべてに従うことが正解ではなく、お客様の目標を達成するために必要なことをお伝えできなければ成果に結びつかないと気づくことが大事ですよね。
社内トップ営業の暗黙知を形式知化するスピードは他社ではできない
───Marooの営業研修についての評価をお願いします。
櫻井様:実践に即したケーススタディやワークショップを行うことで、学びから実践への導線がスムーズで研修やワークショップの難易度も適切で、今の組織体制に合っていました。そして何よりも、自社はもちろん他の会社様でもとても実現できないボリュームで、言語化やビジュアル化を短期間で実施していただいたことは、相当大変だったのではないかと思います。
土手様:施策の可視化が非常に良かったので、これまで自分が成果としてうまくいかなかったときの提案として、「今度ターゲットを変えてみませんか?」や「スクリプトを少し変えて情報量を調整してみませんか?」といったピンポイントの話をしていました。今回の研修を受けてからは、全体像をお話しした上で個別具体の提案をするようになりました。お客様への納得感や道筋が明確になったことが特に良かったです。
基本的に、これまでの研修は座学形式で聞くだけのものが多かったのですが、今回の研修では適切な頻度でディスカッションを挟むことで、思考の整理と深掘りが同時に行えました。また、ワークショップの中で実務に近い環境でアウトプットを出す形式は、Marooさんが初めてでした。そのため、非常に記憶に残りやすく、スムーズに実践に活かせる内容になりました。
今後は、本研修で得たノウハウをプレイヤー含めた組織全体に浸透させていきたいと考えています。しかし、浸透させるには口頭だけでは難しいため、資料や音声での解説が必須です。今回の研修は、今後のトレーニング用の資産としても活用していきたいです。
───素敵な評価をいただき、ありがとうございました!
本インタビューを通じて、soraプロジェクト様はトップ営業の暗黙知を組織全体へと浸透させ、営業組織の体制強化を実現しました。Marooの研修が提供する高度なメソドロジーと実践的なアプローチが、soraプロジェクト様のさらなるインサイドセールス組織のパフォーマンス向上を促進し、成長を支える重要なステップとなることを願っております。