導入事例

インサイドセールス内製化の成功条件──テクノロジー統合と現場実装で築くデータドリブンなインサイドセールス体制の構築

東日本電信電話株式会社様

インサイドセールス内製化の成功条件──テクノロジー統合と現場実装で築くデータドリブンなインサイドセールス体制の構築
(左:諸田氏、中央:熊倉氏、右:Maroo山梨)

NTT東日本が展開するクラウドソリューションのオウンドメディア「クラソル」。クラウド事業のビジネス拡大を目指すなか、WEBマーケティングに加えインサイドセールスの再現性と拡張性の重要性を感じ、インサイドセールスの内製化という大きな転換に踏み切りました。マーケティングから営業、そして組織全体の動きがどう変わっていったのか。その裏側には、どのような課題と意思決定があったのか。クラソルを率いるビジネス開発本部 クラウド&ネットワークビジネス部 クラウドサービス担当 担当課長 熊倉亜実氏と、同部 諸田直樹氏のお二人にお話を伺いました。

「インサイドセールス内製化」の課題

───Marooにお声がけいただいた当時は、どのような課題を抱えていましたか?

熊倉氏:2019年に「クラソル」を立ち上げて以来、NTT東日本がクラウド事業を展開しているという認知を広げ、顧客を獲得することをミッションに取り組んできました。お陰様で一定の認知はあがってきましたが、顧客獲得に関してはまだ伸びしろがあると感じていたんです。

受注獲得に向けては、獲得したリードをインサイドセールスで見極める工程も重要ですが、当初はインサイドセールス業務を外部パートナーに委託していたため、社内にナレッジが蓄積されず、インサイドセールスの再現性や持続性に課題があると感じました。そこで、2024年より内製化に舵を切り、諸田をリーダーに据えて体制の構築に本格的に取り組み始めることにしました。

サービスの特性上、受注に至るまでに一定のコンサルティングや要件定義が必要になります。ですが、ダイレクトセールス(営業)チームのリソースにも限りがあるためインサイドセールスの時点でアポ取りだけではなく、ある程度のコンサルティングなど、リードの質を高めるナーチャリング活動が重要であると考えました。

諸田氏:当時一番の課題は、月間20万UUを超えるサイトからリードは取れているのに、架電してもすぐには案件に繋がらないことでした。お問い合わせなどのCV(コンバージョン)は一定数得られていたのですが、その先の案件化が伸び悩んでいたんです。だからこそ、ランディング(受け皿)部分の強化と案件化率の向上が必要だと感じていました。

当時は、新規で獲得したリードに一通り電話をかけるスタイルだったのですが、どんな属性が理想的で、どうアプローチするべきかという勝ち筋やペルソナ像が感覚的なイメージはあったものの明確ではありませんでした。あらゆる要素を構造化し、スキームとして設計・実行できる体制を構築し、組織レベルの仕組みとして整えることが私の役割だと考えています。

(ビジネス開発本部 クラウド&ネットワークビジネス部 クラウドサービス担当 諸田氏)

ナレッジ・テンプレ共有の一歩先に進めてくれたのがMaroo

───Marooに相談いただいた当初は、複数のベンダー様と比較検討されていたとお伺いしました。そのなかで、Marooを選んでいただいた理由をお伺いできますか?

熊倉氏:5〜6社ほどにご提案いただいたのですが、ナレッジの提供やテンプレートの共有といった内容は、どの社も基本的には共通していました。ただ、私たちはこれまでにも多くのコンサルタントの方々とご一緒してきた中で、「ナレッジ共有だけでは、理想像が具体化できても、それを自社に合うオペレーションとして落とし込み運用が回らなければ意味がない」と常々感じていたんです。

その点で、Marooさんは単なるナレッジの提供にとどまらず、実際に現場で機能する形にまで落とし込む伴走型の実装支援やBPO(業務推進代行)も含めて提案してくださった唯一の会社でした。

諸田氏:代表の山梨さんのnoteを拝見して、そこで紹介されている多様なフレームワークの体系性と実用性に強く惹かれました。当社は「クラウド移行・構築支援」という無形商材を主軸としたBtoBビジネスを展開しており、SaaSのようにパッケージ化された明確な製品を販売しているわけではありません。

このような業態では、一般的な営業手法やテンプレートをそのまま当てはめても機能しづらいという課題があります。その点、Marooさんはテンプレートを一方的に提供するのではなく、私たちの業務実態や顧客像に即した形にブラッシュアップしながら、運用面まで丁寧に伴走してくださるスタンスが非常に心強かったです。

実際に、インサイドセールスの戦略設計だけでなく、実行フェーズまでを含めて具体的な支援スコープに落とし込んで提案してくださったのは、複数社の中でもMarooさんだけでした。

熊倉氏:当社では人事異動も多いため、高い専門性のある人材を確保し続けることも難しく、「最低限必要なスキルレベルは何なのか」を明確にする必要もありました。そこで、あえて社内メンバーではなく、外部人材をアサインし検証することで、必要なスキルレベルの明確化にも貢献いただきました。

結果として、Marooさんがアサインしてくださった外部スタッフは、短期間で期待を上回る数の商談トスアップを実現いただき、私たちが直面していた実務上の課題に対して、リアルな現場メンバーとして向き合いながら伴走してくださった点が非常に印象的でした。

───戦略フレームワークをもとに、必ずしも高い専門性を持たない人材でも一定の成果を出せることを証明できたことは、今後の再現性・拡張性においてポジティブな材料になると思います。その他、Marooとの取り組みについて、印象に残っていることを教えてください。

諸田氏:基盤の整備が一通り完了した後の課題は、それらを日々の運用プロセスにどう的確に落とし込むか、という点にありました。たとえば、初回接触時にどのタイミングでメールや架電を行うのか、その後のフォローアップはどの間隔で行うべきか、また、どのような文面が効果的なのか──こうしたオペレーションレベルでの設計を緻密に詰めていく必要がありました。

ペルソナを把握した上で、どの顧客を重点的にアプローチするかを判断し、それを再現性のある仕組みとして確立し、組織に定着していくことが求められていました。

この点においても、Marooさんは私たちの業務実態に寄り添いながら、運用フローを一緒に整理し、伴走型で最適な形にブラッシュアップしてくださいました。単なるアドバイスにとどまらず、実行レベルまで落とし込んで支援してくださったことは、非常に大きな価値だったと実感しています。

熊倉氏:過去4〜5年にわたり蓄積してきた顧客データは、情報が断片的で、役職や部署といった重要な属性が欠けているケースも多く、施策展開に向けたデータ整備が急務となっていました。

この状況に対し、Marooさんにデータクレンジングを支援いただいたことで、次の施策にスムーズに着手できる環境を短期間で整えることができました。

また、単に「型」を提供するだけではなく、その型を現場オペレーションにどう落とし込み、実際に機能させるかまで一貫してサポートしてくださった点は、他社とは一線を画す大きな違いだと感じています。

また、先ほども話したとおり当社では人事異動が定期的に発生するため、キーパーソンの離任リスクにも備える必要がありました。この点でも、Marooさんには業務マニュアルの整備を支援いただき、属人化を防ぐ体制づくりを進めることができました。結果として、スムーズな業務引き継ぎが可能となり、仮に担当者が異動しても運用が滞らない仕組みを構築できたことは、現場にとって非常に大きな安心材料となっています。

(ビジネス開発本部 クラウド&ネットワークビジネス部 クラウドサービス担当 担当課長 熊倉氏)

データ統合でマーケティングと営業が一気通貫でつながりはじめた

───まさに、「インサイドセールスエンジニアリング」で提供したい価値に共感いただき、非常に嬉しいです。Marooとの取り組みによって見えた「成果の兆し」について、お二人の目線から教えてください。

諸田氏:成果としてまず大きかったのは、データ統合の取り組みです。これまで複数のデジタルツールに分散していた情報を集約し、部署・役職・業種・事業規模といった属性情報に基づいてリードを分析できる基盤が整いつつあります。これにより、ようやくデータドリブンでターゲティングや施策立案ができる環境が構築できたと実感しています。

また、データの整理・統合が進んだことで、リード管理プロセスも大きく進化しました。以前は、リードソースごとに「架電する/しない」を一律で判断していましたが、現在では、リードの属性や検討ステージに応じて、より精緻に優先順位付け・アプローチ設計ができるようになっています。

結果として、無駄なアプローチを削減し、より効果的な営業活動が実現できる体制に近づいてきていると感じています。

(設計したリード管理プロセス)

熊倉氏:2025年度、私たちは「受注獲得のためのクラソル」という明確なテーマを掲げています。これまでは、NTT東日本がクラウド事業を展開していること自体の認知拡大を主目的としていましたが、今後は受注を直接的なKPIとし、ビジネス成果に直結する活動へと舵を切っていきます。

その実現に向けては、単にホットリードの数を追うだけでは不十分であり、受注に至るまでのプロセス全体を一貫して管理・可視化する必要がありました。今回、Marooさんの支援のもと、これまで別々のデータベースで管理していた情報を一つのCRMシステムに統合する仕組みを整備し、リード獲得から受注に至るまでのプロセスをトレースできる体制を構築しました。

これにより、単発的なリード管理にとどまらず、最終的にどのリードがどのようなプロセスを経て受注に至ったのかを可視化できるようになり、施策の振り返りや打ち手の検討を行いやすい状況になりました。今後はデータに基づいてマーケティングと営業双方の動きそのものを調整し、より高い精度で最適化していけると期待しています。

クラウド事業をNTT東日本の新たな柱に

───今後のビジネス拡大に向けた基盤づくりに向けてより一層、邁進していきます。よかったら、今後の展望についてお聞かせください。

(株式会社Maroo 代表取締役 山梨)

熊倉氏:NTT東日本と聞くと、どうしても「電話やインターネット回線の会社」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし私たちは、今後の成長戦略において、クラウド事業こそが新たな収益の柱になると確信しています。

特に、Webチャネルを通じてリードを獲得し、効率的かつ戦略的に商談・受注へとつなげていくポテンシャルは非常に大きいと感じています。今後は、クラウド関連の受注プロセスをさらに強化し、事業成長に直結する取り組みを本格化させていきたいと考えています。

諸田氏:これからの課題は、インサイドセールスの運用を安定的に回し続けること、そしてエンジニアリングの視点も取り入れながら、運用プロセスを継続的に改善していくことです。

また、すでに社内の他部署でもインサイドセールスやコンテンツマーケティングを推進する動きが出てきており、今後はこうした取り組みを全社レベルに拡大していきたいと考えています。その際には、今回のプロジェクトで得た知見が他部門にも展開され、さらなる成長を支える基盤になっていくことを期待しています。

───Marooが向いている会社についてお聞かせください。

熊倉氏:Marooさんは、豊富な「型」を持ちながらも、個社ごとのニーズに柔軟に対応できる支援が魅力的だと感じています。初めてマーケティング関連業務に取り組む方にも、一定の経験を持つ方にも、それぞれの状況に応じた最適なサポートを提供してくれる点が魅力です。

今回も、CRM環境の整備など専門性が求められる局面では、CRMツールに精通したプロフェッショナルを的確にアサインするなど、適材適所で支援体制を組んでいただいた点も非常に心強かったです。

諸田氏:Marooさんは、どんな状況においても柔軟に対応しながら、常に最適な方法を提案してくれる存在だと感じています。私たち自身もインサイドセールスの戦略設計から実行、さらに内製化のフェーズに至るまで一貫して伴走いただき、その支援が業務推進において非常に大きな価値をもたらしてくれました。

特に、業務立ち上げや再構築のフェーズにおいては、非常に頼もしい存在だと思います。たとえばインサイドセールスを新たに導入する際、ICP(Ideal Customer Profile)やバイヤーペルソナの定義、有効リードの見極めといった基礎設計から、実際のオペレーションへの落とし込みまで、丁寧に支援してくれます。さらに、営業組織の規模・体制に応じた柔軟な対応力も、大きな助けになっています。

既存の業務にとらわれていると、変化に対して抵抗が生まれることもありますが、Marooさんはそうした固定観念をうまく取り払ってくれる存在です。まるで組織の「お医者さん」のように、業務を健全な状態へと整えてくれる点が、大きな強みだと感じています。

───ありがとうございました!

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