導入事例

月4時間の運用で商談18件を創出。マネーフォワードが実現した「AI×インサイドセールス」の新しい商談創出モデル

株式会社マネーフォワード様

月4時間の運用で商談18件を創出。マネーフォワードが実現した「AI×インサイドセールス」の新しい商談創出モデル
(左からマネーフォワード 黒須氏・三原氏、Maroo 山梨・藤島)


生成AIの発展により、顧客の業種や事業内容、状況に応じてコミュニケーションを精度高く設計することが、限られた工数でも可能になってきました。

株式会社マネーフォワード様のリーガルソリューション本部は、この変化をいち早く自社の顧客接点に取り込んだ一社です。

AI基盤を活用したインサイドセールスの高度化に向けた取り組みとして、過去の商談実績と対象顧客の売上規模をもとに優先業種を選定。業種ごとの顧客課題と提供価値を整理したうえで、既存のインサイドセールスによる架電とは切り分け、あえて「メールのみ」で商談を創出する仕組みを設計しました。

結果として、当初目標としていた月10件の商談創出を上回り、直近ではある月に18件の商談をすべてメール経由で獲得。リスト作成から配信までの工数は週1時間程度、月にして4時間ほどに収まっています。

今回は、「AI×インサイドセールス」の仕組みをどうつくったのか、取り組みの背景や成果について、リーガルソリューション本部マーケティング部部長の黒須奨平氏、同部署所属の三原成美氏にお話を伺いました。 


生成AIを活用し、お客様に合わせたコミュニケーションを実現したい

(これまで接点を持ったお客様とのコミュニケーションを、より効果的なものにする取り組みについて語る黒須氏)

——まず、お二人の役割について教えてください。

黒須氏:リーガルソリューション本部で、マーケティング部長と営業部長を兼任しています。マーケティング部には、見込み顧客との接点をつくる組織とインサイドセールスの組織があり、それらを含めて統括しています。

三原氏:私はマーケティング部に所属し、「マネーフォワード クラウド契約」と、昨年8月にリリースした「マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー」の販売促進に携わっています。また、業務委託メンバーを中心としたインサイドセールスチームのマネジメントも担当しており、今回の取り組みもその一環としてMarooさんと進めました。

——今回、「AI×インサイドセールス」に取り組んだ背景を教えてください。

黒須氏:以前から考えていたのが、これまで接点を持ったお客様とのコミュニケーションを、さらに有効なものにできないかということでした。
従来もメール配信や、メールの開封をきっかけとしたインサイドセールスからのアプローチなどを行っていました。一方で、生成AIの発展によって、お客様の業種や状況に合わせてコミュニケーションを細かく設計できる可能性が広がっています。
一律のコミュニケーションではなく、お客様の状況に合わせた情報を届けることで、顧客接点をさらに良くし、商談やその先の成果にもつなげていきたいと考えていました。
ただ、社内には日々の業務がありますし、生成AIに関する新しい知見も必要です。すべてを社内だけで進めることには難しさもあったため、Marooさんに相談したことが今回の取り組みの始まりです。

——Marooに相談いただいた理由は何だったのでしょうか。

黒須氏:以前から別のプロジェクトでもご一緒していたため、Marooさんが持つインサイドセールス領域の知見は理解していました。
今回のような新しい取り組みを進めるうえでは、インサイドセールスの専門的な知見に加え、生成AI活用を含めた最新の取り組みを踏まえて相談できる存在が必要でした。その点で、まずMarooさんに相談したいと考え、お声がけしました。


『数を送る』のではなく、業種ごとの顧客課題と提供価値からアプローチを設計

——実際のプロジェクトは、どのように進んでいきましたか。

三原氏:私自身、マーケティング担当として、これまでもお客様へのメール配信を担当していました。そのなかで感じていたのが、対象となるお客様が多いからこそ、「どこから、どのようにアプローチすればいいのか」をさらに整理できる余地があるということでした。
今回の取り組みでは、特に業種別のアプローチが重要でした。
印象的だったのは、私たちから共有した情報をそのまま施策にするのではなく、Marooさん自身がデータを分析したうえで、「この業種にはこういう特徴があるので、このようなアプローチが考えられます」と提案してくれたことです。
Salesforceに蓄積されているデータなども分析しながら、過去の実績や対象となるお客様の規模を踏まえ、優先的に取り組む業種を一緒に決めていきました。
単に実行部分を担っていただいたという感覚ではなく、社内の担当者と同じような目線で、主体的に取り組んでいただいたことが印象に残っています。

——従来のメール施策との違いもありましたか。

三原氏:そうですね。これまではマーケティングとしてのメールマガジン配信などが中心でした。一方、今回はインサイドセールスの視点から、商談につなげるためにどのようなメールを設計するかを考えています。私自身マーケターなので、このようなメールの設計は経験が少なく、新鮮な取り組みでした。
また、単純にデータベース上の業種だけで判断するのではなく、実際の事業内容も踏まえて文面を送り分けるなど、かなり細かなところまで設計しています。
多くのお客様へ同じ内容を届けるのではなく、業種ごとの課題や提供できる価値を整理し、それぞれのお客様に合った情報を届けることを意識しました。


セールスエンゲージメントツールで検証し、Marketoで拡張性を高める

(お客様へのアプローチ方法を整理し、より適切なコミュニケーションを設計できたと語る三原氏)


——取り組みの途中では、利用するツールが、セールスエンゲージメントツールからマーケティングオートメーション(以下、Marketo)に変更されていると思いますが、どのような背景だったのでしょうか。

三原氏:最初はセールスエンゲージメントツールを活用しました。実際に運用していくなかで、今回の施策に必要な要件が徐々に見えてきました。
セールスエンゲージメントツールは、一人ひとりのお客様とのコミュニケーションには適しています。一方で、今回のように一定規模のお客様へ継続的にメールを届けていく場合、配信数などの面で工夫が必要でした。
そこで途中からMarketo(Adobe Marketo Engage)を使った運用に切り替えました。Marketoに変えたことで、より多くのお客様へ安定して配信できるようになり、個人のアカウントではなくチームで運用しやすくなりました。

——最初に構築した仕組みも、無駄にはなっていないのでしょうか。

三原氏:はい。インサイドセールスが電話も交えながら個別にアプローチする場合には、最初に組んでいただいたシーケンスも活用できます。
それに、 お客様に応じて適切なステップメールを送るという考え方は、今回の取り組みを通して社内にも残っています。
実際に両方の方法を試したことで、セールスエンゲージメントツールを使う場面と、Marketoを使う場面を整理できたことにも意味があったと思います。


目標としていた月10件を超え、直近では18件の商談を創出

——定量的には、どのような成果が出ていますか。

三原氏:もともと目標にしていたのは、月10件程度の商談を安定して創出できる状態でしたが、直近ではある月に18件、その翌月も12件の商談(※インタビュー実施時点)をすべてメール経由で獲得できています。当初目標としていた月10件を安定して達成できる仕組みが構築できたと思っています。

——運用に必要な工数についてはいかがですか。

三原氏:大幅に効率化されています。現在は、リストを作成して実際にメールを送るまでの準備が、長く見積もっても1週間に1時間、1カ月に4時間ほどです。月4時間程度の運用で10件以上の商談が生まれるのであれば、効率の良い施策だと感じています。
マニュアルについても、引き継ぎ後、そのまま私自身でも同じように運用できるほどのクオリティまで仕上げていただいています。

人的リソースを増やさず商談を創出。『メール』を再現性の高いチャネルへ

(あえてメールに絞って設計することで、工数を抑えながら商談を創出できる仕組みを構築したと語る山梨)

——今回の取り組みで、特に印象に残っていることはありますか。

三原氏:プロジェクトの初期に時間をかけて議論したのが、どのようなアプローチ方法にするかという点です。
例えば、「メールと電話を交互に織り交ぜる」という形にすることもできますが、今回は最終的にメールだけでコミュニケーションを設計しました。
あえてメールを中心にしたことで、ほとんど工数をかけることなく商談が生まれる仕組みをつくることができました。
プロジェクトの最初に時間をかけて議論していただいたことが、現在の成果につながっていると思います。

——今後、この仕組みをどのように発展させていきたいですか。

三原氏:現在は、メールから商談につながるところまでは実現できています。次に考えているのが、「どのお客様に、いつアプローチするか」という部分の精度をさらに高めることです。
今は一定数のお客様を対象にメールを送っていますが、今後は何らかの変化や行動を捉えて、そのタイミングに合わせてアプローチするような仕組みに発展させられると思っています。また、普段電話でのアプローチを担当しているインサイドセールスのメンバーにも、今回の取り組みは共有しています。
インサイドセールスのメンバーは、電話でのコミュニケーションには一定の強みを持っていますが、メールを組み合わせたアプローチはまだ広げられる余地があると考えています。今回蓄積した考え方や仕組みを活用しながら、インサイドセールスのメンバーとも次の取り組みを進めたいと話しています。

——社内でも一つの成功事例になりそうでしょうか。

三原氏:そうですね。社内でも、インサイドセールスがメールをうまく活用して商談を継続的に増やしていく事例は、まだそれほど多くありません。
このまま自社で運用できる状態まで定着させることができれば、一つの成功事例として展開していけるのではないかと思っています。

戦略だけでも、実行だけでもない。両方を回せることがMarooの強み

(ナーチャリングからインサイドセールスまで、一体で設計する支援について語る藤島)

——最後に、Marooとの取り組みは、どのような企業に向いていると思いますか。

黒須氏:マネーフォワードという会社全体では規模がありますが、リーガルソリューション本部自体は少数精鋭の組織です。
サービス自体もまだ成長過程にありますから、「お客様にどのような価値を届けるか」「新しいサービスにどう興味を持っていただくか」「想定しているお客様が本当に適切なのか」といったことを、短い期間で振り返りながら改善していく必要があります。
そうした状況では、とにかく数を増やせばいいわけでもありませんし、戦略だけを考えて実行が伴わなくても成果にはつながりません。
Marooさんは、これまで蓄積してきた知見をもとに企画を考えるだけでなく、実行する機能も持っています。企画から実行までを一緒に回しながら改善していけることは、今回のプロジェクトでも感じた特徴です。戦略を考えながら、実際のオペレーションまで落とし込んでいきたい企業には、マッチするのではないかと思います。

三原氏:今回のプロジェクトは、完全にインサイドセールスの領域かというとそうではなく、マーケティングとインサイドセールスの中間にある取り組みだったと振り返っています。マーケティングで多くのお客様との接点を持っている一方で、それをインサイドセールスの活動にどう生かすかを考えている企業には、取り組みやすい取り組みだと思います。
今回のように仕組みをつくった後、自社で継続的に活用していくこともできます。マーケティングとインサイドセールスをつなぎながら、新しい商談創出の仕組みをつくりたい企業にとっては、相性の良い取り組みになるのではないでしょうか。

——ありがとうございました!

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