コミュニケーションプラットフォーム「Re:lation」を提供する株式会社インゲージは、創業から10年以上を経て、現在を「第二創業期」と位置づけています。既存市場での成長をさらに広げるために、同社が取り組んでいるのが、「問い合わせ管理」という枠組みを超えた、新たな市場価値の再定義です。
一方、新規事業や新市場開拓の立ち上げフェーズでは、仮説検証を進めたくても、既存事業を運営しながら十分なリソースを確保することは簡単ではありません。TAM(市場規模)の拡大や顧客価値の最大化が求められる中では、感覚論ではなく、市場の一次情報をもとに意思決定を行う必要があります。
同社が求めていたのは、戦略だけを描く会社でも、営業実行だけを担う会社でもありません。仮説検証から市場開拓までを一気通貫で伴走し、内製メンバーと同じ目線で事業に向き合えるパートナーでした。今回は、Marooとの取り組みを始めた背景や、実際に感じている価値、社内で起きた変化について、執行役員 CGO 兼 ビジネス本部 本部長の松田隆宏様にお話を伺いました。
第二創業期を迎えたインゲージが挑む、「問い合わせ3.0」という市場再定義

——まず、松田様の役割と、今回の取り組みの背景について教えてください。
松田様:株式会社インゲージは、コミュニケーションプラットフォーム「Re:lation(リレーション)」を開発・提供しているSaaS企業です。現在13期目を迎えており、私は執行役員 CGOとして、ビジネスサイド全体のグロースを管掌しています。直近では、既存事業の成長に加え、将来の事業の柱をつくるため、新規事業開発に注力しています。
現在の弊社は、「第二創業期」にあると捉えています。主力サービスの「Re:lation」は高い評価をいただいていますが、今後の成長を考えたとき、既存機能の延長線上だけではなく、新しい市場や価値提供のあり方に挑戦していく必要がありました。
——今回は既存プロダクトを新市場へ展開する取り組みだったそうですね。
松田様:「Re:lation」は、これまで“問い合わせ管理ツール”として認識されることが多かったのですが、お客様の声を聞くと、実際にはもっと広い価値を感じていただいていました。
「問い合わせ管理」という言葉にとらわれすぎることで、逆に価値を小さく見せてしまっていたのではないかという感覚もありました。そこで、「問い合わせの抜け漏れを防げる」だけではなく、お客様とのコミュニケーション品質そのものが変わる、社内連携がスムーズになる、といった届けられる価値や対象となる市場を広げていこうと考えました。
私は社内で勝手に「問い合わせ3.0」と呼んでいます。1.0はメールなどで個別に対応している状態、2.0は管理ツールを導入してミスや抜け漏れをなくす状態、そして3.0は問い合わせを活用して事業成長につなげていく状態です。問い合わせというお客様からの一次情報をどう資産化していくか。それが第二創業期における重要なテーマの一つです。
「Re:lationは問い合わせ管理だけではない」という議論はありましたが、どうしても感覚論になりがちでした。だからこそ、実際に市場へ出て、お客様の声を聞きながら、「この仮説は合っているのか」「本当にニーズがあるのか」を検証する必要がありました。
ただ、社内だけでそれをやろうとすると、どうしてもリソースが足りません。特に新規事業は、まだ投資判断が固まりきっていない領域でもあるので、大きく人を張りづらい。その中で、市場理解を深めながら仮説検証を回す必要がありました。Marooさんに入っていただいたことで、実働を通じて「この仮説は合っていそうだ」「ここは違いそうだ」ということが見えてきた。これは当社にとって大きな一歩です。
戦略と実行を分断しないパートナー
——Marooにご相談いただいた際、どのようなゴール、期待をお持ちでしたか?
松田様:Marooさんは戦略と実行の両方において、高いレベルで伴走してくれる点に魅力を感じました。「勝ち筋・死筋」の早期発見、マーケットインサイトの取得、新規事業立ち上げに必要な営業メソドロジーの社内インストール、この3点を重要なゴールとして設定していました。
新規事業は「何をやれば正解なのか分からない状態」から始まります。だからこそ、戦略を描くだけではなく、実行を通じて市場のリアルを拾いながら、仮説を更新していけるパートナーが必要でした。
単なるアポイント獲得の代行ではなく、市場の一次情報を収集し、仮説の磨き込みを一緒に進めてくれる戦略的パートナーとしての役割です。重視していたのも、コール数や商談数といった量的な指標ではなく、「どの顧客が、どのような課題を抱えているのか」という定性情報の解像度と、仮説検証のスピードに期待をしていました。
マーケットインサイトを重視した営業活動にシフトできた
——実際に取り組みが始まってから、どのような価値を感じましたか。
松田様:一番大きかったのは、「検証サイクルが高速化したこと」ですね。以前は、社内で「このターゲットはどうだろうか」と議論しているうちに時間が過ぎてしまうことも多かったのですが、Marooさんに入っていただいてからは、より多くの市場へのアプローチやヒアリングが可能になり、市場からのリアルなフィードバックが短期間で集まるようになりました。
その結果、社内の意識にも変化があったと思います。単純に「アポが取れた・取れない」で判断するのではなく、「なぜこのトークは刺さらなかったのか」「この業界特有の課題や意思決定構造はどうなっているのか」といった、マーケットインサイトを重視した営業活動へシフトしていきました。
また、非常に価値を感じたのは、Marooさん側から主体的に提案をいただけたことです。こちらに合わせるだけではなく、「目的を達成するなら、こうした方がいい」と理由まで含めて提案していただけたので、単なる支援会社ではなく、本当に事業視点で伴走してもらえている感覚がありました。
Marooが保有するフレームワークに整理された形で社内にナレッジが蓄積

——特に印象に残っているMarooの支援内容や、「ここが他社と違う」と感じた特徴はありますか?
松田様:一番感じているのは、「戦略×実行」のレベルが、一般的な支援会社とは大きく違うという点です。特に印象的だったのは、全体戦略の設計だけではなく、市場の反応や顧客ニーズを見極めるためのスクリプト設計など、現場レベルの施策まで一気通貫で入り込んでいただけたことです。
新規事業は、どうしても不確定な領域が多く、途中でオーダー変更が発生することもあります。ただ、その都度柔軟に対応いただきながら、うまく折り合いをつけて進めていただけたのは非常にありがたかったです。
——プロジェクトの進行やコミュニケーションで印象的だったことはありますか。
特に印象的だったのは、定例の中で「そもそも目的は何でしたっけ」と問いを投げていただいたことです。プロジェクトを進めていると、どうしても手段が目的化してしまう瞬間があります。だからこそ、「なぜ新規事業をやるのか」「本来何を実現したかったのか」という原点に立ち返るきっかけをいただけたことは、社内にとっても非常に大きな意味がありました。
活動を進める中では、「これまでの検証結果を見ると、次はターゲットペルソナを変えてみるのはどうでしょうか」といった提案もいただきました。単に依頼された業務をこなすのではなく、プロジェクトの目的や背景まで深く理解したうえで提案をいただけるので、まるで社外に新規事業開発部のコアメンバーが増えたような感覚がありました。高い当事者意識を持って並走していただけたことは、非常に心強かったです。

——プロジェクトを通じて、どのような成果が得られましたか。
松田様:新規市場において、「検証」がまずは出来たことです。社内だけで実施していればかなり時間がかかっていたであろう検証を、わずか数ヶ月でクリアにすることができました。
また、数値以外での変化としては、「市場のリアルな顧客の声(マーケットインサイト)が、Marooさんの保有しているフレームワークに整理された形で社内にナレッジが蓄積されました。
——経営層・現場メンバーからの反応はいかがですか?社内でどのように捉えられているか教えてください。
松田様:社内でも、単なる外注先ではなく、「弊社の成長に必要なビジネスパートナー」として認識されています。活動内容やアウトプットを全社共有すると、「ちゃんと前に進んでいる」という実感が社内にも伝わるんですよね。
Marooさんに入っていただいたことで、目的やゴール設計、プロジェクトの進め方、ドキュメンテーションの質など、組織全体のプロフェッショナリズムの基準が上がっている感覚があります。
実際、直近では「新規事業だけに閉じておくのはもったいない」と感じ、既存事業を推進する部門にも一部入っていただいています。当初の支援範囲に限らず、「当社にとって何が最適か」を軸に動いていただける柔軟さは、大きな価値です。
立ち上げフェーズに必要な伴走
——今後、新規事業やインサイドセールス体制をどのように発展させていきたいですか?またMarooに期待することはありますか。
今回Marooさんと共に確立した「仮説検証・市場開拓のフレームワーク」をベースに、更に検証速度を加速させていきたいと思っております。また、社内のインサイドセールス組織を、単なる架電部隊ではなく「市場のインサイトを吸い上げるレベニュー組織」へと将来的にはスキルアップ・進化させていきたいです。
——最後に、Marooを勧めるとしたら、どのような会社に合うと思いますか。
松田様:新規事業の立ち上げにおいて、社内で経験のないメンバーだけで悩んでいたり、検証のスピードに課題があるなどあれば、Marooさんにご相談いただくのが良いと思っております守備範囲が広く、柔軟性があり、戦略も実行も強いからです。たとえば、新規事業を任されたけれど、何から始めればいいかわからない。インサイドセールスを立ち上げたい。新しい部署や役割を作りたい。これまでのやり方を根本から見直したい。そういうゼロイチのフェーズには非常に合うと思います。

——ありがとうございました!
