導入事例

ABMを起点に「一つの顧客像」を全社で共有する。インフキュリオンが仕掛ける、事業成長のためのマーケティング戦略

株式会社インフキュリオン様

ABMを起点に「一つの顧客像」を全社で共有する。インフキュリオンが仕掛ける、事業成長のためのマーケティング戦略

株式会社インフキュリオン様は、決済・金融領域に特化し、約20年にわたって企業の事業成長を支援してきました。

金融機関向けを中心に豊富な実績を積み重ねてきた同社は、非金融領域への展開や、複数プロダクトを組み合わせた提案を次の成長ドライバーと位置づけ、ABM(アカウントベースドマーケティング)に取り組みました。

Marooは、ICP(理想的な顧客像)の設計段階から伴走し、マーケティングが共通の顧客像を持てる体制づくりを支援しました。今回は、その背景や取り組みの詳細、得られた成果について、マーケティング&コミュニケーションズ本部 統合マーケティング部の泊寛祐様、圓貴博様に伺いました。

(左:Maroo山梨、中央/右:インフキュリオン泊氏、圓氏)

━━━ まずは会社概要と、お二人の役割について教えてください。

泊氏:当社はFintech領域、とくに決済・金融分野に特化した会社です。企業が決済や金融サービスをどのように事業へ組み込み、競争力につなげていくかという構想段階から、実際のシステム実装まで一貫して支援しています。

圓氏:事業の特徴は、コンサルティングとプロダクトの両方を展開していることです。もともとはコンサルティング事業から始まり、金融機関の新規事業立ち上げや、大手事業会社の金融・決済領域への参入支援など、多くのプロジェクトを手掛けてきました。

その中で見えてきた現場の課題やお客様のニーズをプロダクトへ反映し、さらに導入企業から得られたフィードバックを開発へ生かす。この循環を続けられることが、当社の大きな強みです。

泊氏:また、決済領域に長く携わってきたこともあり、カード会社や銀行など金融・決済分野の知見を持つメンバーが数多く在籍しています。こうした専門性も、お客様から評価いただいているポイントの一つだと考えています。

私たちはマーケティング&コミュニケーションズ本部の統合マーケティング部に所属しています。リード獲得や商談創出だけでなく、ブランド認知の向上や情報発信まで幅広く担当しており、その中で私たち二人は新たな商談機会の創出を中心に取り組んでいます。

━━━ ABMに取り組まれた背景を教えてください。

泊氏:当社が提供しているサービスは、企業の決済機能を競争力へつなげる支援や、金融機関の基幹システム刷新など、お客様ごとに検討期間が長く、関係者も多いテーマが中心です。そのため、幅広くリードを獲得するマーケティングよりも、理想的な顧客像に合致する企業(ICP)ごとに中長期で関係を築くアプローチが重要だと考えていました。

圓氏:当社は複数のプロダクトを展開しており、それぞれの事業部が専門性を活かして提案を行ってきました。一方で、お客様の課題が複数プロダクトにまたがるケースも増えており、会社全体の価値としてどう組み合わせてご提案できるかが、次の成長に向けたテーマだと感じていました。

個別のサービス提供を超えて「会社全体としてどのように貢献できるか」という、より高い視点でのご提案が求められるようになっています。お客様のパートナーとして課題に伴走するため、サービスの垣根を越えて一貫した信頼関係を築くABMが必要だと考えたのです。

━━━ ABMを始めるにあたり、どのような点を重視されましたか。

泊氏:アタックリストの作成などはこれまでも行っておりましたが、さらにABMとして進化することで、より丁寧に見込み顧客とコミュニケーションできるのではないかと考えました。そのため、施策を実行する前に「どのような企業へ、どのような価値をご提供するのか」という土台づくりを最も重視しました。

当時は社内でもABMへの理解が十分に浸透していたわけではなく、まずは小さく始めながら、組織全体の共通認識をつくっていく必要がありました。そのため、施策の実行だけでなく、設計の段階から伴走してもらえるパートナーを探していました。

圓氏:プロジェクトでは、まずICP(理想的な顧客像)の整理から着手しました。営業担当者にはそれぞれ「こういう企業なら価値をご提供できる」という確かな感覚がありました。今回のプロジェクトでは、その一人ひとりの知見を言語化し、組織全体で共有できる形に落とし込むことを目指しました。

そこで営業との対話を重ねながら、「どのような課題を抱えている企業に価値をご提供できるのか」を一つずつ言語化していきました。このプロセスは、単に営業先を整理するためだけのものではありません。マーケティング・営業が同じ顧客像を共有し、同じ基準で議論できる状態をつくれたことが、最も大きな成果だったと感じています。

━━━ 実際にプロジェクトが始まってから、どのような変化がありましたか。

圓氏:当初は、各事業部がこれまで培ってきた営業スタイルや知見をどう活かしながら新しい取り組みを進めるか、丁寧な擦り合わせが必要だと考えていました。

しかし実際には、「より良い商談機会をつくる」という共通の目的があったことで、想像以上にスムーズに連携が進みました。

マーケティングだけで活動するのではなく、営業と継続的に対話する中で、営業側からも「こういった企業にはニーズがあるかもしれない」といった新しい視点が生まれるようになりました。

営業からも「今回の取り組みはうまくいった。では次はどうするか」といった前向きな声が上がっており、接点をさらに広げ、深めていく動きにつながっています。一方向の支援ではなく、共にABMを育てていく雰囲気が生まれていきました。

泊氏:特に大きかったのは、営業とマーケティングが同じ基準で顧客を見るようになったことです。以前はサービスごとに営業活動を進めていましたが、ICPを基準として会話できるようになったことで、「なぜこの企業にアプローチするのか」「どのような価値をご提供できるのか」を共通認識として持てるようになりました。

その結果、議論の質も大きく変わりました。「アプローチするかどうか」ではなく、「どうすれば価値をご提供できるか」という前向きな議論が増えたことは、組織としても大きな変化だったと思います。ABMは、マーケティング施策の一つというよりも、営業・マーケティングが共通の顧客理解を持つための取り組みとして機能し始めています。

━━━ 組織横断での共通基盤づくりや、施策単位ではなく顧客起点のABM戦略を推進できたことは非常に嬉しく思います。今回の取り組みの結果としては、どのように振り返っていますか。

泊氏:今回のプロジェクトでは多くの商談を創出することができました。ただ、私たち自身は件数だけを成果とは捉えていません。印象的だったのは、ICPやペルソナの明確さについてです。「顧客像をどれだけ具体的に言語化できているか」が成果を左右する重要な要素だと再認識できました。

この点が明らかになったことで、次に改善すべきポイントが整理できました。成果だけでなく、今後の活動につながる学びを得られたことは、大きな収穫だったと考えています。

圓氏:営業からも前向きな評価を得ることができました。以前から営業活動の中でアカウントリストを作成してきましたが、今回はICPを起点に対象企業を整理し直し、活動履歴や反応を組織全体の資産として継続的に蓄積・検証できる仕組みへと発展させました。

こうした土台ができたことで、「これからはデータをもとに改善を続けられる」という期待感が生まれました。

また、今回は「すぐに案件化すること」だけを目標にしたわけではありません。もともと検討期間が長い商材ですので、まずは狙いたい企業との接点をつくり、継続的なコミュニケーションを始めることも重要な成果として位置づけていました。

その認識を営業と共有できていたことで、「次はどのような情報をご提供すれば関係性を深められるか」「次の接点をどうつくるか」といった議論につながっています。ABMを単発の施策ではなく、中長期で顧客との関係を育てる取り組みとして捉えられるようになったことは、大きな変化だと感じています。

━━━ 今後の展望について教えてください。

泊氏:今回の取り組みを通じて、ABMの土台は整ってきました。これからは、活動を継続しながら精度を高めていくフェーズだと考えています。例えば、企業ごとにアプローチ方法を変えることや、新しいチャネルを取り入れることなど、より適切なコミュニケーションを模索していきたいと思っています。

圓氏:一方、ABMは短期間で成果を判断するものではありません。半年や1年で完結する施策ではなく、継続することで企業理解が深まり、その積み重ねが成果につながっていく取り組みだと考えています。そのため、今後はこの取り組みで得られた知見を全社で共有し、「このアプローチが効果的だった」「この業界ではこうした反応があった」といった情報を横展開できる仕組みをつくっていきたいと思っています。

泊氏:さらに、今後は営業やマーケティングだけではなく、プロダクト開発部門とも連携を深めていきたいと考えています。

ABMを通じて得られた市場の声やお客様からのフィードバックを開発へ還元することで、より市場のニーズに即したプロダクトづくりにつなげられるはずです。営業、マーケティング、そして開発部門までが共通の顧客理解を持ち、一体となって価値をご提供できる組織を目指したい。それが、私たちがABMを通じて実現したい姿です。

━━━ 最後に、Marooはどのような企業におすすめできると思われますか。

泊氏:これからABM組織を立ち上げようとしている企業には、とても相性が良いと思います。施策の実行だけでなく、その手前の土台づくりから伴走してもらえる点に、大きな価値があると感じました。

圓氏:ABMというと、アウトバウンドコールやフォーム営業といった手段から始めてしまうケースが多いと思います。しかし本来重要なのは、「どのような企業に価値をご提供するのか」というグランドデザインの設計です。そこを一緒に考えてもらえたことで、私たちも今回の取り組みでABMを推進するための基盤を整えることができました。これからは蓄積した知見を生かしながら活動の精度を高め、より多くのお客様との価値ある接点を築いていきたいと考えています。

━━━ ありがとうございました!

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