株式会社フライルは、「世界のプロダクトに、進化の原動力を。」をミッションに掲げるIT企業で、サービス・製品の顧客体験上の重要課題をリアルタイムに可視化し、データドリブンな施策の優先順位をワンストップでおこなうプロダクトマネジメントソフトウェア「Flyle」の開発・提供を行っています。
一定の成果が出ていたインバウンドアプローチを対象とした顧客層からシフトし、自社プロダクトをより支えるセグメントを見つけ出すためにアウトバウンドのアプローチ戦略の実行へと同社が舵を切るタイミングで弊社Marooにお声がけいただきました。
サービス導入後の成果について、セールス部門の植田 剛司氏、生藤 弘樹氏にお話を伺いました。
【株式会社フライル様】
- 設立年月日:2020年2月10日
- 事業内容:プロダクトマネジメントソフトウェア Flyleの開発・提供
- 会社HP:https://corp.flyle.io/
植田 剛司氏
2011年4月、新卒で三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社しリテール営業に従事した後、Sansan株式会で関西の企業を中心にセールスを担当。2021年4月、Salesforceに入社。大阪、京都の企業を中心にセールスに従事する。2023年1月にフライルの1人目のセールスとして営業活動、営業組織の立ち上げを実施。
生藤 弘樹氏
2019年4月、新卒で富士フイルムビジネスイノベーションジャパンに入社。メジャーNB営業部で大手新規開拓営業に従事する。2022年8月、Salesforceに入社し、インサイドセールス業務に従事する。2024年1月までの在籍期間に、Best Rookie、MVP2回受賞。2024年2月、フライルに入社し、BDR組織の立ち上げを実施。
インバウンドからアウトバウンドへの営業戦略の見直し期
――まずは事業概要について教えてください。
生藤氏:株式会社フライルはWebサービスを提供している企業です。事業の中核は、顧客フィードバックに基づいて製品の優先順位を決定し、開発の意思決定を行う仕組みを構築するWebサービスの提供です。製品開発と改善を継続的に行うことで、顧客満足度を高めることを目指しています。
――ご支援を開始した当時の営業戦略について詳しく教えていただけますか?
生藤氏:当時の営業戦略は、インバウンドマーケティングを中心に展開していました。具体的には、自社のWebサイトや展示会で獲得したリードに対してアプローチし、商談を設定するスタイルです。インバウンドマーケティングは一定の成果を上げましたが、蓋を開けてみると、有効な商談がほとんどないという状況でした。
営業リソースだけが取られ、案件や売上を作れないという問題に直面したため、営業戦略を見直す必要があり、そういった背景から自社プロダクトとの親和性や売上貢献度が高いセグメントを見つけ出し、アウトバウンドでアプローチする戦略に変更するタイミングでした。
植田氏:初めはいわゆるプロダクトマネージャーをターゲットにしており、プロダクトマネジメントを前面に打ち出すことで、一定のインバウンドリードは獲得できました。しかし、商談の単価が上がらなかったり、受注までうまく結びつかないことが多々ありました。
――プロダクト価値を見直しターゲットを変更された背景について詳しく教えていただけますか?
植田氏:生成AIの登場といったマーケットの潮流・トレンドがあげられます。顧客が大量に保有しているVOC(Voice of Customer)を生成AIの技術で自動分析を行ない、顧客のサービス開発に活かすような機能をFlyleに実装できれば顧客への提供価値を最大化できるのではないかという仮説を元にピボットを進めているタイミングでした。
ターゲットのセグメントもエンタープライズ領域と呼ばれる大手BtoC企業、そのなかでもCX(カスタマーエクスペリエンス)やCS(カスタマーサポート)に注力しているセグメントに変更したことで、従来のプロダクトマネジメントの枠を超えた、新しい価値提供が可能となりました。結果的に既存の取引先のグループ企業氏から受注が生まれ、1社あたりARR(Annual Recurring Revenue:年次経常収益)を上げていく期待が持てるようになりました。
ターゲティング精度改善からマルチチャンネルの BDR支援を通じてエンタープライズ企業との接点が拡大
――当時を振り返って頂いて、どのような取り組みが印象に残っていますか?
生藤氏:新規でエンタープライズ企業のアウトバウンド開拓を行う際の全体設計から施策立案、施策の実行代行まで一貫して支援いただけました。社内のインサイドセールスは、私一人しかいなかったため、コンサルティング支援でのベストプラクティスの提供のみではなく、フライル社内で実行をスムーズに行うためのオペレーションの型化やアウトソースによる体制構築の取り組みを伴走してもらい、効率的かつ効果的な顧客アプローチが実現できた思っています。
また、ターゲティング領域における支援が非常に助かりました。弊社のプロダクトや顧客の解像度を高く持っていただき、自社では想定していなかったターゲット属性やリスト抽出手段について氏々なアイディアをディスカッションのなかで導き出すことができたのは、非常に心強かったです。
打ち合わせのなかで合意した優先度や条件からターゲット企業・キーパーソンのリスト作成、LinkedInなどのSNSアカウントの抽出までを一気通貫でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を進めてもらうことができ、一人では到底できない量のターゲティングやリストアップが短期間で完了したことは、当時を振り返ってもかなり驚いています。
また、手紙の文章や商談設定に繋げる導線設計についても有益な施策になったと思います。例えば、過去に成果が出た手紙文章からテンプレートを作成してくれたり、手紙の中にQRコードを入れて商談につなげる方法も非常に効果的で、BDR(Business Development Representative)支援のなかで取得した商談のうち約3割がこの取り組みから得ることができました。Marooさんの支援によって新しいアプローチ方法を取り入れることができ、商談の質と量を大幅に向上させることができました。
――QRコードからのアポ獲得、素晴らしいですね。具体的に工夫した点はありますか?
植田氏:手紙の冒頭部分は手書きで書くことで、受け取った顧客に対して個別の関心を示していただくような工夫を凝らしました。また、手紙の中にQRコードを埋め込むことで、受け取った顧客が簡単に商談の予約をすることができる導線にすることで、商談の効率が大幅に向上しました。QRコードを使用することで、顧客が手紙を受け取ったその場でスマートフォンから商談を予約することができる点が非常に効果的だと振り返っています。特にエンタープライズ企業のエクゼクティブ層から非常に高い評価を得ることができ、手紙の手書き文面だけではなく、便箋や封筒で使用した和紙のこだわりなど、細かい点を含めて褒めていただくこともありましたね。
Salesforceでの営業経験があってもBDR組織の立ち上げ支援が必要だった理由
――社内には、Salesforce出身の方も多く、BDRの知見は元々社内に合ったのではないかと思ってます。そのなかで、弊社サービスのどの点で特にご満足いただいておりますか?
植田氏:BDRの仕組み作りや営業体制の実装のサポート、そして知見の提供が非常に心強かったです。
よくあるコールドコールで受付突破して、アポイントを取るだけなら社内メンバーのポテンシャルで実現できたと思いますが、属人化させない再現性ある仕組みとして、オペレーションの全体設計、施策立案・実行までを効率的に運用する体制の構築までの一貫した支援が非常に有益でしたね。
私は前職がSalesforce(セールスフォース・ジャパン)社に勤務しており、BDRの組織も存在していたため知見も有しております。ただ、当時は過去一度も接点がない企業氏への白地開拓というより、膨大にあるハウスリスト(過去にCRMに蓄積されているメールアドレス付きの人物情報)をいかに効率よく、リスト整備して掘り起こしをするかという観点がメインでした。
Marooさんのご支援のおかげで、弊社の営業戦略は大きく改善されたと思います。現在は構築した体制を元にアウトバウンドアプローチに関しては「手紙、LinkedIn、電話」を組み合わせたマルチチャネルアプローチを行っています。アプローチ別の成果に関しては、手紙やLinkedInでのメッセージが非常に効果が出ており、アウトバウンドから取得した商談の約50%以上は、手紙とLinkedInの組み合わせから商談創出ができています。
少人数の組織で急成長を目指す企業にはMarooは非常にありがたい存在
生藤氏:また、インサイドセールス組織にとって最もインパクトが大きかったのは、自分の時間を使わずとも、エンタープライズ企業のエクゼクティブクラスの方との商談を安定して供給できる仕組みができたことです。単発的な施策というより、中長期的に有効な資産を短期間で構築することができた感覚です。
Marooさんは、自社のICP(Ideal Customer Profile)との互換性高く最適化されたターゲティング、再現性高く仕組み化されたプロセスの構築、プロセスを加速するためのアウトソース(外部委託)の3つの要素を複合的に支援いただいたことで、1社あたりのARRが3倍以上になったり、受注までのリードタイムの短縮化されたりと、大きく事業成長に貢献いただきました。
スタートアップやリソースが限られている企業にとって、Marooさんのサービスは非常にありがたい存在です。特にIT・Webサービスを提供する業界や、スタートアップなどの少人数組織のなかで急成長が期待される企業には、BDR活動の価値を最大化し、より多くの商談を取得する仕組みを構築できるMarooさんの支援が大いに役立つと思います。
今後の展望:エンタープライズ顧客へのアプローチ強化
――今後の展望について教えてください。
生藤氏:今後はエンタープライズ企業へのアプローチをさらに強化し、製造業などのグローバルに展開するBtoBマーケットにも進出する計画です。
植田氏:より多くの受注を獲得し、事業の成長を加速させたいと考えています。具体的には、アカウント単位で専任担当をつけて、複数の部署を横断した、既存の顧客に対する深掘りを進めていきたいです。
――本日は貴重なお話をありがとうございました!