2022年創業の株式会社DELTAは、CTOとそのエンジニア組織の挑戦と成長を支えるテクニカル・プロフェッショナル集団です。リアーキテクチャ支援やクラウドコストの最適化といった技術負債の解消から、エンジニア特化型の採用支援に至るまで、先端技術と組織課題の両面にアプローチしながら、エンジニアリング組織の根幹を支えています。
当時、同社が向き合っていた課題は、属人的な紹介営業からの脱却。再現性のある営業体制の構築と、継続的なパイプライン創出を目指す中で、パートナーとして選んだのがMarooでした。
本記事では、CEO兼CTOの丹哲郎氏、COOの西谷圭介氏に、Marooとの共創によってどのように営業体制がアップデートされ、どんな文化的・定量的変化が生まれたのかを伺いました。
課題は「紹介頼みの”受け身”営業」からの脱却
───御社の事業内容と当時の課題について教えてください。
西谷氏:私たちは「CTO Booster」という、パブリッククラウドの利用コストを成果報酬型で最適化する支援サービスを展開しています。
当時は、私の前職で築いた人脈を通じた紹介が主要な顧客獲得チャネルとなっており、紹介者のタイミングや状況に左右されやすく、営業活動の再現性や安定性に課題を抱えていました。そこで2024年下半期、「紹介に依存しない自走型の営業体制を構築し、自社で継続的にリードを創出できる仕組みを確立する」ことを目標に、本格的な取り組みをスタートしました。
当初は、別の営業代行会社に依頼しましたが、単にリストに対して機械的に架電を繰り返すだけの施策で、商談数は増えても成約には結びつかず、投資対効果が見合わない結果となりました。この経験から、「テレアポの代行」ではなく、営業戦略の立案から実行まで一貫して伴走してくれるパートナーが必要だと痛感したタイミングで、出会ったのがMaroo社でした。
「営業の仕組み化」へのアプローチに納得 型化されたメソドロジーが信頼につながった
───弊社からのご提案に関して、率直にどのような印象をお持ちでしたか?
西谷氏:初回の打ち合わせで印象的だったのは、Marooの営業プロセス構築におけるメソドロジーの完成度の高さです。単なるリストアップや架電業務にとどまらず、ターゲット選定、トラッキング項目の設計、データ活用の方法論まで体系的に整理されており、営業活動全体が“仕組み化”されていることに驚きました。
「ここまでプロセスが型化されているのであれば、安心して任せられる」と直感的に信頼感を持ったのを覚えています。
単なるアウトソーシングではなく仕組みを共創するパートナー
───お取り組みをスタートしてから約2ヵ月半が経過しました。お二人の目線から振り返っていかがでしょうか?
西谷氏:取り組み開始直後は、施策効果の検証を目的に、まずは「電話を中心としたアウトバウンド施策」からスタートしました。ただ、前回のベンダー同様、DELTAの商材特性やターゲットとなる顧客層を踏まえると電話中心のアプローチでは効率が悪く、生産性が見合わないと判断しました。
その後すぐに、Marooの提案で手紙やLinkedInを活用したマルチチャネル戦略へと方針を転換。さらに、過去の名刺情報や問い合わせ履歴といった社内に眠っていた顧客資産を棚卸・整理し、ポテンシャルの高い領域へとリソースを集中することで、短期間で成果が見え始めたのは大きな転換点だったと感じています。
私たちは営業の専門家ではないため、「こういうアプローチもあるのか」と毎回の定例ミーティングや日々のコミュニケーションから多くの学びを得ています。
たとえば、「手紙送付なんて効果があるのだろうか?」と懐疑的だった施策も、実際に試してみると想定以上の反応が得られたことで、その有効性を実感しました。こうした実践に裏打ちされたノウハウを具体的に提示してくれる点は、非常に信頼がおけるポイントだと思います。
丹氏:闇雲にコールドコールだけに依存したアウトバウンド活動を続けるのではなく、施策ごとの効果を適切に検証したうえで「生産性が見合わない」と判断し、すぐに次の一手へと切り替える判断スピードには驚かされました。
また、報告の際も「成果が出ませんでした」と終わるのではなく、必ず代替施策の提案がセットで提示される点が印象的でした。しかもそれは、単にトークスクリプトやリストの微調整といった局所的な対応ではなく、上流の戦略設計から逆算された、構造的にインパクトのある改善提案が中心でした。
さらに、DELTAのサービス内容に対するキャッチアップの速さにも感心しました。ロールプレイの段階から、「もうそこまで理解してくれているのか」と思えるほど深くサービスの特性や価値を把握しており、初期段階から安心して任せられると感じました。
こうした一つひとつの積み重ねが信頼につながり、「もっと深く巻き込んで、継続的に一緒にやっていきたい」と思えた大きな理由です。私たち自身、営業領域にはまだ多くの課題を抱えており、それらを一つずつ解決していくためにも、今後さらに密な連携を図っていきたいと考えています。現在も、継続的にさまざまな相談をさせていただいている状況です。
ターゲット戦略から商談の提案資料まで、共創型の伴走スタイルが強み
─── 提案時にお話しした「セールスプロセスの構築」について、実際に取り組んでみて感じたことはありますか?
西谷氏:ちょうどMarooへの依頼を検討し始めた頃、営業・マーケティング基盤の整備の一環として、Hubspotへの移行も視野に入れ始めたタイミングでした。
とはいえ、私たち自身はHubspotの実務経験があるわけではなく、過去に一部の機能を使った程度で、「何をどこまで設定し、どのように運用すればよいのか」が明確でない状態でした。そのため、導入に踏み切るには至っていなかったのですが、Marooから「Hubspotを活用したセールスプロセスの全体設計や、案件のフォーキャスト管理に関する具体的な構想」を提示いただいたことで、私たちの意識が大きく変わりました。 「これは、きちんと設計すれば、大きな武器になる」と確信を持てるようになったんです。
さらにその先には、営業活動のオートメーション化や、属人性を排除したパフォーマンスの標準化といった将来的な展望も見えてきて、今では「このケースではHubspotでどう管理すべきか?」といった運用上の細かな相談まで、気軽にできるのは非常に心強いですね。
単なるツール導入の支援にとどまらず、運用設計・活用戦略にまで踏み込んで伴走してもらえるという点で、信頼できるパートナーだと感じています。
丹氏:Marooさんがパートナーとしていてくださることで、「外部にお願いする」という選択肢を自然に取れるようになったことは、私たちにとって非常に大きな変化でした。それまでは、新規事業を立ち上げたとしても、「この施策、結局どう進めればいいのか?」という議論ばかりが先行し、対応が後手に回ってしまうことが少なくありませんでした。しかし現在では、「この点は次回のアジェンダでMarooに相談しよう」といったように、前向きかつ継続的なアクションへつなげる会話が自然と生まれるようになったと実感しています。
たとえば、過去の顧客とのリレーション構築において、重要な場面ではトップ自らが対応すべきケースも依然としてありますが、その全体設計やスケジュール調整までをすべて自分たちで抱え込むのではなく、「この場面はMarooに同席してもらい、後工程は任せよう」といった役割分担ができるようになったことで、より本質的な業務に集中できるようになりました。こうした選択肢を取れる体制が整ったこと自体が、大きな進歩だと感じていますし、その柔軟性と受け皿の広さにも感謝しています。
西谷氏:重要KPIとして設定している「月次の商談実施数」についても、前回依頼していたBPO企業と比較すると、プロジェクト初期の段階からすでに目標を上回る成果が出ており、確かな手応えを感じています。
さらにMarooは、単なる営業代行にとどまらず、「誰に・何を・どのように届けるか」という顧客戦略そのものに深く関与し、ターゲティング設計や営業資料の改善提案にまで踏み込んで伴走してくれる点が大きな価値だと感じています。
こちらが課題意識を言語化する前の段階から、「次はこの仮説を検証するために、◯◯という条件で☓☓のデータソースを活用しましょう」といった提案を先回りして出してくれるため、スピード感をもってPDCAを回し続けられる。この“共創型のスタイル”が、私たちにとっては非常に心強い存在となっています。
目標にコミットする姿勢が組織文化にも好影響を
───定量的な成果や、組織文化の変化といった観点から、サービス導入前後でポジティブに変わった点や今後の期待値があればお話しいただけますか?
西谷氏:商談で使用する提案資料のブラッシュアップや、施策を確実に実行しきるプロジェクト推進力など、Marooは常に「目標を達成するために、いま何をすべきか」を明確に示してくれます。その具体的な指針が、徐々に私たちのチーム全体にも浸透しつつあり、DELTAの営業力そのものがワンランク上の水準へと引き上げられていると実感しています。
今後はさらに他のメンバーも巻き込みながら、個人ではなく組織全体として成果を出せる営業体制の強化に取り組んでいきたいと考えています。
丹氏:定量的な成果が出ていることはもちろんですが、Marooが加わったことで、営業に対する“構え”や“意識”そのものが変化したことを強く感じています。
これまでは、「とりあえず何とかするしかない」といった属人的・場当たり的な対応が中心になっていたのですが、今では「次はこの課題をMarooと一緒に整理しよう」といった前向きで計画的な会話が自然に生まれるようになったんです。この変化は、単に業務プロセスの改善にとどまらず、営業文化の土壌づくりという観点でも非常に大きな意味を持っていると感じています。
───今後の営業やマーケティング組織について、どのように進めていきたいか、またそれに対する期待についてお話しいただけますか?
西谷氏:今後は、営業活動の仕組み化とパイプラインの安定化を本格的に推進していくことが目標です。単に施策単位で成果を出すだけでなく、継続的に成果を生み出せる再現性のある仕組みと、組織全体で数字を追う体制を構築していきたいと考えています。
そのためには、アポイント獲得で終わらせるのではなく、リードから商談、そして受注後のプロセスまで、すべてのステップにおける目的と連動性を明確化し、組織的に運用することが重要です。Marooさんとは、そうした全体設計も含めて二人三脚で取り組みを継続し、営業・マーケティング基盤の強化に努めていきたいと考えています。
また、私たち自身まだまだ模索段階の部分も多くあるため、ぜひ率直なご意見やフィードバックを惜しみなくいただけるとありがたいです。具体的な提言があれば、それを一つひとつ取り入れていくことが、私たちにとって大きな成長につながると確信しています。
丹氏:最終的な理想は、自走できる営業組織へと独立していくことです。ただし、それは一朝一夕で実現できるものではなく、信頼できるパートナーとともに、実践を通じて積み上げていく過程が非常に重要だと考えています。
また、これはDELTA単体の話にとどまらず、私たちがモデルケースとなることで、グループ全体にも波及させていけると期待しています。たとえば、グループ横断で共通のCRMを活用することで、各事業部間での連携が強化され、全体としてより高い成果が見込めるのではないでしょうか。
とはいえ、最初から完璧な体制を目指すのではなく、目の前の課題に一つずつ丁寧に向き合い、確実に前進していくことが何よりも大切だと捉えています。その過程を、Marooとともに走り抜けていけることに大きな期待を寄せています。
───ありがとうございました!