導入事例

MarooのインサイドセールスBPOが、エンタープライズ開拓の戦略パートナーとして機能

コミューン株式会社様

MarooのインサイドセールスBPOが、エンタープライズ開拓の戦略パートナーとして機能
(左:Maroo代表山梨、右:BDRチームマネージャー陣川氏)

エンタープライズ領域のBDRは、量と質の両面で精度を求められる”総合格闘技”のような難易度があります。ターゲット企業へのアプローチが一巡し、従来の方法では成果が伸びづらくなる局面、社内ステークホルダーとの連携が複雑化する状況、決裁者との接点構築の難しさ——多くの企業が共通して直面するこれらの壁に対し、コミューン社はMarooと協働し、現行運用の高度化と新たな施策開発を並行して進めるアプローチで成果を積み上げてきました。

本記事では、BDRチームマネージャー陣川氏に、同社が当初抱えていた課題、Marooが担った役割、そして短期間で成果が生まれた背景を伺い、実際のプロジェクトの進行プロセスとともに詳しく紹介します。


───まずは御社のサービス概要や役割について教えてください。

弊社は、コミュニティづくりを中心に、プラットフォーム提供、SNS運用、イベント企画・運営支援といった、顧客との関係構築に関わる一連の業務をワンストップで支援している会社です。主な顧客はBtoC企業ですが、BtoB領域でも知識共有やコミュニティ形成を強化したい企業とのお取引も多くあります。

私はデマンドジェネレーション部門のBDRチームでマネジメントをしており、売上につながるパイプラインの創出を担っています。電話・メールでの初期接点づくり、イベント集客、社内各部門との調整、さらにはイベント企画や登壇まで、担当範囲は幅広いです。

コミュニティマーケティングは成果が見えにくい側面があるため、価値をどのように伝えるかが重要なテーマになります。そのため、まずは大企業との成功事例を確立し、それを業界全体に展開していくことで導入企業を増やしたいと考えています。

ターゲット企業は約300社に絞り込み、エンタープライズ領域に集中的にアプローチしています

(BDRチームマネージャー 陣川氏)


エンタープライズ開拓で求められる「量と質の両立」を実現できるパートナーを探していた

───御社のBDR業務の人材要件としての理想像はありますか?

エンタープライズ領域のBDRには、総合格闘技のように多様な手段を組み合わせて動く力が求められます。そのため、社内状況を正しく理解し、関係者と連携しやすい体制をつくることが欠かせません。特定の業務だけを切り出して進める形では成果が出にくく、過去の商談履歴や業界トレンド、顧客の競合動向などの情報を共有しながら一体で進める必要があります。その前提として、実行を任せられる信頼性の見極めも重要になります。

理想を言えば、営業からカスタマーサクセスまでの一連のフローを理解し、マーケティングにも一定の経験や知識がある人材が望ましいです。必要に応じて地道な業務にも取り組める姿勢も大切です。弊社のエンタープライズ開拓では、BDRを起点に施策を企画し、他部署と連携して自ら実行していく必要があるため、知識だけでなく調整力と推進力が求められます。

ただ、すべての経験が揃っていることが必須というわけではなく、生成AIなどのツールを活用してキャッチアップし、提案まで進められるのであれば十分だと考えています。また、パイプライン構築は効率的な手段だけでは限界があり、泥臭いリサーチや丁寧な個社最適など、他社が踏み込みにくい領域にも向き合うことで成果につながる場面があります。モラルを守りつつ柔軟に動ける方が適していると感じています。

───今回、弊社メンバーの藤島がエンタープライズ企業開拓のプロジェクトでご一緒していますが、当時抱えていた具体的な課題やボトルネックを教えていただけますか?

前提として、まずリソース不足がありました。ただし単純な人手の問題ではなく、エンタープライズ向け施策ではマーケティング領域の理解やテクノロジーの活用スキルが必要になります。もともと、代表の山梨さんをはじめMarooにはマーケティングテクノロジーの経験があり、メンバーの方々もその延長線上にあるスキルセットをお持ちでした。そのため、同じ水準で議論・推進できる方に参画いただきたい、という期待がありました。この背景が、今回の依頼につながっています。

BPOの選考では、ミスマッチを防ぐため、必ずアサインされる方と事前面談を実施していますが、Marooさんがアサインされたメンバーとの面談は特に印象的でした。インサイドセールスには、行動量で成果を創出するタイプ、質を重視した少数精鋭タイプ、その両方をバランス良くこなせるタイプの三つがあると考えています。

最初のタイプは成果の再現性が低く、二つ目は組織として成立させるには負荷が高い。私たちとしては、三つ目の「量と質の両立」ができる人材を求めており、採用難易度も高い領域でした。

その点、藤島さんはこれまでの実績から必要なアクション量のイメージが明確で、成果に至るプロセスを説明できるタイプでした。また、コミュニケーション面でも、社内関係者との調整や承諾を得る場面で求められる対応力が備わっている印象がありました。これらの点から、安心してプロジェクトをお任せできると判断しました。


「基本運用の強化」と「新施策の創出」を両輪で支援し、成果につながったMarooの伴走

───今回、我々にお声がけいただいた際の期待値について、特にエンタープライズ開拓におけるKPIや、設定されていた目標を伺えますでしょうか。

正直、電話やメールは堅実な手段ではあるものの、それだけでは目標とする成果をつくり切れない感覚がありました。そこで、まずは基本となる電話・メールでの接点創出を着実に進めつつ、そのプロセスを工夫して成果に結びつける”突破口”を見つけてほしいという期待がありました。また、活動状況の整理やレポート化を通じて改善につなげる流れもお願いしたいと考えていました。

同時に、既存施策の周辺業務のサポートだけでなく、新しいアイデアの提案と実行にも期待していました。実際、過去のウェビナー参加者向けDM施策では、リスト作成、送付計画、フォロー設計まで一連のプロセスをお任せできましたし、その施策自体も藤島さんからの提案でした。

結果として、そこから有望企業のマーケティング部長とのアポイントにつながりました。こうした成果は、しっかり評価できるポイントだと感じています。

───実際の取り組みの中で感じたポジティブな変化や、藤島の提案から生まれた成果について、印象に残っている点を教えていただけますか。

週次でKPIを報告いただき、あわせて改善策もご提案いただいていました。ターゲットが限られている状況では、量よりアプローチの質を高めることが重要になりますが、その点について具体的な示唆をもらえたことが大きかったです。定量状況をきちんと可視化し、そこから分析して改善策を提示し、さらに実行まで一貫して進めていただけたことが、成果につながった要因だと感じています。

新しく取り組んでいただいた部分で特に印象的だったのは、ウェビナー案内の休眠リードへの再アプローチや、個人のキーマン候補をSNS上でリスト化して整理するなど、従来の電話・メール以外の経路からも接点を広げていった点です。こうした動きはこれまで十分に着手できていなかった領域であり、ユニークかつ有効なアクションだったと感じています。

───これまで数あるBPO企業とのお付き合いがあるとお聞きしました。Marooの特徴についてお伺いできますか?


2つあります。1つは、活動結果の報告にとどまらず、その先の改善策まで踏み込んで提案していただける点です。活動状況を定量的に可視化し、その分析から次にどこを改善すべきかを示していただけるため、運用の質を高めるうえで大きな支えになっています。

もう1つは、AIなど新しい手法も積極的に取り入れつつ、営業施策を同じ目線で議論できることです。こちらが細かく指示をしなくても、先進的な取り組みを自ら形にして推進してくださるため、実働面でも即戦力として大きく貢献いただいていると感じています。


コミューン社とMarooが”同じ温度感”で走れたことが成果につながった

───今回のプロジェクトを通じて、受注や商談数など、定量・定性的な成果についてどのように評価されていますか。

定量面では、月あたり数件ほど安定して商談が創出されており、8月の開始以降で1件の受注に結びついています。エンタープライズ開拓はセールスサイクルが長い領域ですが、開始3ヶ月で1件の受注につながったことは大きな成果だと捉えています。

定性的には、課題が多い領域であるにもかかわらず、一緒に改善サイクルを回せていること自体が大きな価値だと感じています。特定業務だけを切り出す形では成果が出づらいのですが、全体の活動に向き合い、課題ごとに解決策を検討しながら進められている点が良いところです。

また、社内で取り組むべき領域と、BPOとしてお願いする部分を適切に分担しながら進められている点も、このプロジェクトの大きな強みだと思っています。こうした”同じ温度感”での伴走が、成果創出につながっていると感じています。

───エンタープライズBDRの難しさは部分的に業務を切り離すとうまくいかない点にありますが、BPOマネジメントで工夫されている点や役割の棲み分け等で意識されている点はありますか?

あります。たとえばSlackでは共通フォーマットで情報を整理してやり取りし、朝会で前日の活動内容や気づきを共有することで、すぐに回答できる状態をつくるようにしています。さらに、週に一度はMarooさんを含めてKPIに基づく振り返りを実施しています。

こうしたコミュニケーションをある程度仕組み化し、一定の頻度で継続することでキャッチアップがスムーズに進んでいると感じています。

この領域は総合格闘技のように幅広い対応が求められるため、依頼側にもマネジメント負荷がかかります。その中で、双方がしっかりコミットして取り組めるかどうかで成果が大きく変わると考えています。今回、短期集中で成果が出たのは、お互いが高い熱量で取り組めたことが大きいと感じています。社内でも「多くを学べている」という声があり、そこは非常に良い点です。

社内評価についても触れると、Slackでのやり取りや受注状況を周囲が見ている中で、ポジティブな反応が多く寄せられています。一般的に外部BPOを導入すると、期待値が高まる一方で、「社員ほど成果が出ないのでは」という先入観から初期にネガティブな声が出ることもあります。しかし今回は、そうした反応がほとんどなく、良い状態でスタートできたと感じています。

さらに、初期段階の活動から早い段階で成果の兆しが見えたため、私からマネジメント層や担当営業へすぐ共有しました。その結果、社内でもスムーズに受け入れていただき、合流後の運用にもスピード感が出たと感じています。

中期戦略は”社員×BPO”の最適分担でスケールを実現したい

───今後の展望についてお伺いしたいです。今回の取り組みは延長いただいていますが、もう少し中期の視点で、エンタープライズ開拓の戦略や施策をどのように発展させていきたいとお考えでしょうか。また、今後の体制づくりについてもお聞かせください。

今後を考えるうえでは、まず社員とBPOの役割をより明確にし、それぞれが力を発揮できる体制を整えることが重要だと考えています。特にBPOには、専門性が求められる領域や、短期間で負荷が高まるスポット対応、定型的な作業などを担っていただきたいと思っています。こうした領域を任せることで、社内の負荷を平準化しながら成果を安定的に積み上げる体制に近づけるはずです。

具体的には、DM施策のような規模の大きい業務や、時期によって一気に負荷が高まる情報収集・リサーチ業務が該当します。人事異動が集中するタイミングでは、迅速な情報収集と整理が求められますが、これをすべて社員だけで対応するのは難しい場面があります。こうした部分をBPOが補完することで、安定した運用が実現できると考えています。

一方で、社員が担うべきなのは、ビジョンに基づく戦略立案、社内外との調整、売上に直結する中心的な活動です。顧客との重要なコミュニケーションや、最終的な責任を負う領域は社員が主体的に取り組むべきだと整理しています。

さらに、事業をスケールさせるうえでは、外部メンバーとの連携範囲を広げ、より俊敏に動ける体制を築くことも欠かせません。信頼関係を前提に業務委託できる領域を広げながら、社内外がスムーズに連動できる仕組みを整えることで、より発展的な体制へと進化させていきたいと考えています。

エンタープライズ開拓で壁を感じている企業にはMarooが最適

───最後にMarooのサービスをどのような企業におすすめできるか、3か月ご一緒してきた中で感じた「相性の良い企業」について教えていただけますでしょうか。

Marooのサービスと相性が良いのは、BDRやエンタープライズ開拓の進め方に悩んでいたり、一定の基準の高さで活動を進めたい企業だと思います。単に定型業務を任せるというより、社員と外部の役割を切り分けたうえで、幅広い業務を柔軟に依頼したい企業とは特に相性が良いと感じています。

一般的にBPOに依頼すると、社内からネガティブな声が出やすいケースがあります。たとえば、オペレーションの質が低い、社員が期待するレベルとアウトプットが乖離している、情報の整理が不十分、といったものです。ですが今回に関しては、そのような反応はありませんでした。ビジネススキルを前提にしたコミュニケーションや連携がしっかりできていたことが大きいと思っています。

コミュニティマーケティングはまだ広まりきっていない分、挑戦の余地が大きく、海外展開も含めてチャレンジングな領域です。Marooのように、内製社員レベルのビジネススキルを前提に人材をアサインできる会社は正直多くありません。

その点を評価して選んでいただいていると感じていますし、こちらとしても、高いレベルでお仕事をされている方々とぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。

 ───ありがとうございました!

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